2026/06/02 14:30
「秋月をお散歩したような気分になりました。歴史のある素敵なところですね。葛餅がとっても美味しそう!謎解きは程よい難易度で、秋月の現在と歴史を楽しく遊べて、旅行したくなりました」
MARGINEの感想投稿フォームでこんな感想が届いた。
プレイヤーはゲームを終えたのではなく、ある町への旅心を手にして帰っていった。この感想を読んだとき、私がMARGINEで作りたかったものが、ちゃんと届いたと確信した。
謎解きで「場所を好きになる」とはどういうことか
一般的な謎解きは、パズルを解くことがゴールです。問題が解ければ完結する。それはそれで純粋な楽しさがあります。
でも私は、別の問いを持っていました。
謎解きが終わった後、プレイヤーの中に何が残るのか。
MARGINEが目指したのは、体験を通じてその土地や店舗の文脈がプレイヤーの中に宿ること。謎を解く過程で、その場所の歴史・自然・人の営みに触れ、気づけばその場所のことが好きになっている——そういう設計です。
「歴史の勉強になり、観光気分を味わい、そして謎を解く。とても有意義な時間を過ごせました」というプレイヤーの声は、私たちが目指す体験を的確に言い表してくれていると思います。
現実の場所・課題とつながることへのこだわり
MARGINEの作品には、必ず現実の地域・店舗・社会課題が存在します。
「秋月の茶屋から始まる物語」の舞台は、福岡県朝倉市秋月。筑前の小京都とも呼ばれ、江戸時代の面影を今も色濃く残す城下町です。石畳の道、武家屋敷、400年以上続く歴史の重み。その町に実在する「黒門茶屋」様とコラボし、物語を組み立てました。
「1つのボールペンから始まる物語」では、宮崎市青島を舞台に砂浜消失という実際の環境問題を題材にしています。宮崎大学の研究者に監修いただき、公開されている実際の資料をエビデンスとして組み込みました。
なぜここまで現実にこだわるのか。
フィクションだけでは生まれない「本物の感動」があると信じているからです。プレイヤーが体験の中で触れる情報が現実と地続きであるとき、謎解きはただのゲームを超えて、その土地への入口になります。
遠くにいても、その場所を好きになれる
MARGINEの体験の多くは、現地に行かなくても楽しめます。
「地域型のARGといえばMARGINEという風になってほしい。遠い場所からでもやれるのが良い」というプレイヤーの声がありました。この言葉は私たちの設計思想を正確に捉えてくれています。
現地に行けない人が体験を通じてその場所を好きになり、いつか訪れたいと思う。現地に行ける人が体験を携えてその町を歩き、新しい発見をする。どちらの入口も用意することが、MARGINEが考える地域との関わり方です。
「機会があれば秋月の街に行ってみたいと思いました」という言葉が、私にとっての最大の褒め言葉です。
体験が終わっても、続くもの
謎解きが完結した後も、プレイヤーの中に何かが残る。
それは記憶かもしれないし、その土地への愛着かもしれない。あるいは一緒に体験した誰かとの会話かもしれません。
「心温まりました。またほかのものも遊びたいと思いました」「これからも優しい世界観を持った作品を楽しみに待っています」——こうした声を読むたびに、私たちがやるべきことの輪郭がはっきりします。
MARGINEが目指すのは、体験したプレイヤーがその地域や店舗を好きになって帰る謎解きです。
謎を解いた先に、旅がはじまる。その設計を、これからも丁寧に積み重ねていきます。
